アナログスイッチいろいろ比較


最近74HC4051〜4053や4066など、アナログスイッチをミキサーとして使う方法が一般化してきました。例えばSoft66とか。
高周波向けだとSN16913とか、低周波向けだとRC4200とか、以前のように普通に売っていた時代なら、これら専用部品を使えば性能も出て
再現性の高い回路が作れるのですが、現在では殆んどの部品がディスコンになり、仕方なくアナログスイッチで
代用しなければならないという苦しい事情もあります。

アナログスイッチでミキサーを作ってもIMD-48dBとか、そこそこ性能が出るので十分代用でき、大いに活用しているのですが
最近メーカーを変えるとアナログスイッチ部のロスと歪率が変わることに気がつきました。当たり前といえば当たり前なのですが
どのメーカーも同じだろうと、ロジックICだし、伝播遅延時間が違うくらいで大して問題にならないだろう…と甘く見ていました。
でも、良く考えてみたらアナログじゃん…という事で各社のデータシートを見ると、これまた数値が違う。これはヤバい。今まで何も考えず
使ってきた。ひぇぇぇ
…という訳で今後の応用を考えて、いろいろとじっくり性能比較してみました。

まず、一番気にしたのは歪率悪化です。 アナログスイッチのON抵抗が多少高くて、そのせいでロスが増えても、後で増幅すれば
どーにでもなりますが、歪んでしまったのはどうしょうもない。
データシート上には負荷抵抗10KΩ時の値がよく載っているのですが、高周波の回路でインピーダンス10KΩという値はかなり非現実的です
大抵が50〜3KΩ内だと思います。この範囲内で抵抗値を変化させて様子を見ます。
とりあえず、本トランスミッタで使っている電源±5Vと、一般に良く使われる5V単電源の条件で、周波数はなぜか1KHz(笑)。
まぁ一番見たい高周波は後々測るとして…
下記の回路で、電源電圧VCC=10V or 5V、バイアス5V or 2.5Vにセットして測定します。



                             測定回路





           被検体1号(笑) 東芝TC74HC4053の歪率 各負荷インピーダンスごとの測定値  左側…VCC 5V 右側…VCC 10V





           被検体2号(笑) On-semiのMC74HC4053の歪率 各負荷インピーダンスごとの測定値  左側…VCC 5V 右側…VCC 10V



入力レベルが上がると歪が増えるのは、どうやら入力電圧でON抵抗が変わるのが原因みたいです。
逆にレベルが低い時歪が増えるのは測定系の歪などが影響していると思われます。
VCC5Vではあまり差がないのですが、VCC10V時に歴然とした差が……東芝さん。非常にやヴぁいです。
負荷抵抗1KΩ近辺の値がONsemiにボロ負けです歪っぱなしです桁違いです。改善お願いいたします。





次に仕切り直して、利得の変化も見てみます。上記測定回路の入力モニタと出力端子間のレベル差を見ます。




                       東芝TC74HC4053  各負荷インピーダンスごとの測定値  左側…VCC 5V 右側…VCC 10V





                   On-semiのMC74HC4053  各負荷インピーダンスごとの測定値  左側…VCC 5V 右側…VCC 10V




えーと…、東芝さん。非常に頑張って下さい。これ以上申し上げることは……。

最後に、被検体は各社1個ずつしか見ていないので、全てが上記の特性になるとは限りません。あくまで一例としてご一覧下さい。
間違っても、上記ネタを元に東○や代理店の東○デバイスにケンカを売らないようにお願い致します

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