FM放送帯の発振器いろいろ比較


FM放送はCDに比べS/Nが悪いので、音声のダイナミックレンジを圧縮して96dB→70dB程度にしないと
小さい音が聞き取れないと言われますが、果たしてそれが本当なのか実験をしてみました。

事の発端は手持ちのKT-1100DというチューナーのS/N比が100dB(モノラル) 92dB(ステレオ)と書いてあるのが
本当なのか、ある意味確かめたくなった…。まぁ古いし、アナログ部分が多いので経年変化で劣化してそうだけど。
それと、手持ちのトランスミッタだと、以前の測定で70dB程度しか出ていないので、例えば今後高性能のFMトランスミッタを
作ったとしてどれくらいの改善の余地があるのか、確認する意味もあります。

実験方法は 80MHz帯の水晶発振器と手持ちのトランスミッタをFMチューナのANTに入れて
復調音声をFFT解析するだけ




水晶発振器のノイズ 上段…リニアスケール 下段…Logスケール KT-1100Dを用いて測定

9KHz付近になんか変なノイズが居ますが、水晶発振器の周波数付近に在来局が居るので、ノイズとして混じったのではないかと
推測します…多分
ノイズフロアーが-122dB近辺なので 計算すると FFT1ポイント当たりの周波数の刻み32768/48000Hzより=0.682666Hz   1ポイント当たりの
ノイズがだいたい-122dB程度なので15〜15000Hzで総和すると (15000-15)*10^(-122/10)/0.6826666=1.38*10^-8 dB換算して-78.585dB‥
何かすごく悪くないか?





−−−−−−−−−−− 以上2009年当時の検討結果 ↓は2016年の測定データ −−−−−−−−−−−−−−−−



FMトランスミッタ8号機のノイズをFPGA-FMレシーバーで測定 ステレオ状態で測定
変調信号(音声)は入力せず測定 0.7Hzで-65.93dBもあるのはPLLで周波数を常時微調整しているのでノイズが発生しています。
15〜15000Hzまで抽出して-82.08dB A-weighting時-82.65dBA


1KHz 100%変調時 下のRMS測定値から-3.14dB 上記値から差を求めるとSN比が計算でき
-3.14-(-82.08)=78.94dB または-3.14-(-82.65dB)=79.51dBA





FMトランスミッタ7号機のノイズをFPGA-FMレシーバーで測定
8号機と同じようにステレオ状態で音声を入力せず測定   さすがにフルデジタル機なのでSNは相当良いです。
15〜15000Hzまで抽出して-92.77dB A-weighting時-92.95dBA


1KHz 100%変調時 下のRMS測定値から-3.22dB 上記値から差を求めると
-3.22-(-92.77)=89.55dB または-3.22-(-92.95dB)=89.73dBA



ついでなのでモノラル時のデータも調べました。 変調信号(音声)は入力せず測定
15〜15000Hzまで抽出して-102.85dB A-weighting時-103.95dBA


1KHz 100%変調時 下のRMS測定値から-3.22dB 上記値から差を求めると
-3.22-(-102.85)=99.63dB または-3.22-(-103.95dB)=100.73dBA!!! 念願のひゃくdB!!!
モノラルでおまけにA特フィルタ掛けてるけど何とか100dB逝ったよ(感涙






KT-1100Dの性能をFMトランスミッタ7号機で再測定?
以前、KT-1100Dを使ってSN比を測定しましたが、何かよくわからん手法を使い、測定結果がOrzだったので再測定してみます。
当時と比べOPAMPを交換しまくり、改造しまくった「脱いだらすごいんですFMチューナー」(笑)になっているので、ある程度期待できます。


ステレオ時のデータは↓ 変調信号(音声)は入力せず測定 15〜15000Hzまで抽出して-96.63dB A-weighting時-97.77dBA


1KHz 100%変調時 下のRMS測定値から-16.55dB 上記値から差を求めると
-16.55-(-96.63)=80.08dB または-16.55-(-97.77dB)=81.22dBA




モノラル時のデータは↓ 変調信号(音声とパイロット信号)は入力せず測定 15〜15000Hzまで抽出して-98.20dB A-weighting時-99.78dBA


1KHz 100%変調時 下のRMS測定値から-16.55dB 上記値から差を求めると
-16.55-(-98.20)=81.65dB または-16.55-(-99.78dB)=83.23dBA






総括

FPGA-FMレシーバーを使うとステレオ時85dB モノラル時100dB程度のSN比が稼げることが分かりました。
KT-1100Dの場合はステレオ時80dB モノラル時82dBで 80dB付近で飽和することが分かりました。
あとはもっと性能の良いFMトランスミッタを作って再測定するのみ‥Orz




訂正・変更履歴


2009.07.15   初版 KT-1100Dで水晶発振器に接続してノイズ測定
2015.01.25   FM変調とAM変調のSN差追記



TOPページ inserted by FC2 system